極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
 姉はスプーンを持ってカレーライスをすくって口に入れた。咀嚼してから思い出したように口を開く。

「お父さん、いつまでもダラダラなんてしないわよ。私、嵯峨野で働くわ。役つきのポストは空いていない?」

「いきなり役つきか? バカを言うんじゃない。最初は販売部で修業するんだ。周りに認められるような社員になれば、昇進をさせる」

「えーっ、修業? 私はお父さんの娘なのよ? 社長の娘が下働きをするの?」

 姉はスプーンをガシャンとカレー皿に置き、頬を膨らませて不満をぶつける。

「郁美、仕事をなめてはいけない。それが嫌ならうちでは働かせられない」

「そんなぁ。……わかったわ。販売部でもいいわ」

 すぐに考えを改めた姉は、上機嫌ににっこり笑う。彼女の様子に私はなんだか違和感を覚えた。喜怒哀楽が激しい気がする。以前からもそういう感じは見受けられたが、良幸さんと別れてからはひどくなったみたいに思える。

「はぁ~美月はいいわね。御曹司の妻になって、なに不自由ない生活を送れるんだから。私もいい人を見つけて永久就職したいわ。ね、今頃彼は結婚前の羽目をはずしているかもね」

 長女のひどい言葉に父は呆気に取られてから、怖い顔になる。姉の悪意あるセリフに私も驚いて言葉を失う。
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