【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
 ウエディングドレスに着かえるため、控え室に向かう。
 ドレスはパニエで膨らませず、シンプルなシルエットである。
 
『ひかるの肌を誰にも見せたくない!』 

 護孝さんと父まではわかるのだが、何故か多賀見の伯父様まで反対された。

 女性陣が『少しは見せたほうがエレガントだ』と言い張る。 

 妥協案としてシルクでAラインのアンダードレスに、最高級のリバーレースのトップドレスを重ねることにした。 

 トップドレスの優美なレースが首から肩をなよやかに見せてくれる。
 袖は手首まであるが、ふんわりしたバルーンになってている。 

 アンダードレスの背中や胸元は大胆にカットされてトップドレスの繊細なレースの下から、肌をチラ見せする。

 うん、これくらいはいいでしょ。
 ドレスの裾はあまり長く仕立てず、かわりに腰に巻いたリボンをトレーンに見立ててある。

 純白ではなく、ほんの少しだけグリーン味がある生地。
 チュールを重ねたところは、もやに霞む若草のように薄らと色づく。 
 
 ヘッドドレスはカチューシャである。
 細いゴールドを繊細に組み真珠で小枝を形づくったデザインだ。
 ところどころにグリーンガーネット、ペリドットでアクセントをつける。 
  
 イヤリングとブレスレットとセットになっていて、カチューシャはチョーカーとしても使うことができる。

「森の妖精みたいだな」

 護孝さんが私を見て、嬉しそうに微笑んでくれる。

 対する花婿の装いは。……私、鼻血が出そうになった。
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