罪か、それとも愛か
苛立つ琴羽をなだめたのは翔太だ。
「こらこら琴羽。冬輝に気の利いた言葉を期待するなよ。
お前が他の奴の為に着飾っているのが面白く無いことくらい、察してやれ」
「バカなこと言わないで、パパ。
このドレスは戦闘服よ」
そう言い切った琴羽はまさに戦の前と言わんばかりの昂りで、目に強い光を宿していた。
「いやーん、琴羽、やっぱりカッコイイ!ドレスは戦闘服だなんて!惚れ惚れするわね、冬輝くん」
その目にやられて体をくねらせ、もだえるようなジュンとは対照的に冬輝は何も答えない。
翔太の言葉は図星だったのだ。
真紅のドレスはひどく扇情的でそれでいて品があり、琴羽によく似合う。
ーー戦闘服にしてはセクシーすぎる。
他の男の目に晒したくないと思ってしまう。湧き上がる独占欲を抑えるのに必死だった。
琴羽とは生きる世界が違う。ドレスを着こなし、高貴なオーラをまとう彼女は、やはり名家『一条』の御令嬢なのだと思い知ってしまう。
冬輝は翔太と琴羽の荷物を手にさっと部屋を出て、感情を隠し無言で運転手に徹した。