罪か、それとも愛か

苛立つ琴羽をなだめたのは翔太だ。

「こらこら琴羽。冬輝に気の利いた言葉を期待するなよ。
お前が他の奴の為に着飾っているのが面白く無いことくらい、察してやれ」

「バカなこと言わないで、パパ。
このドレスは戦闘服よ」

そう言い切った琴羽はまさに戦の前と言わんばかりの昂りで、目に強い光を宿していた。


「いやーん、琴羽、やっぱりカッコイイ!ドレスは戦闘服だなんて!惚れ惚れするわね、冬輝くん」


その目にやられて体をくねらせ、もだえるようなジュンとは対照的に冬輝は何も答えない。

翔太の言葉は図星だったのだ。

真紅のドレスはひどく扇情的でそれでいて品があり、琴羽によく似合う。

ーー戦闘服にしてはセクシーすぎる。

他の男の目に晒したくないと思ってしまう。湧き上がる独占欲を抑えるのに必死だった。

琴羽とは生きる世界が違う。ドレスを着こなし、高貴なオーラをまとう彼女は、やはり名家『一条』の御令嬢なのだと思い知ってしまう。

冬輝は翔太と琴羽の荷物を手にさっと部屋を出て、感情を隠し無言で運転手に徹した。





< 141 / 252 >

この作品をシェア

pagetop