アタシと秘密の王子さま
部屋に着いて、鍵を開ける。
ドアを開けると、電気がついた。
俺は後ろに向き直って言う。

「おかえり、あかね」

「ただいま、賢」

ああ、なんかいいな。
おかえり、ただいま、なんて、一人だと言わな
い。
こうして、些細なあいさつを交わせるのが幸せだなんて、思っても見なかった。

俺たちは、自然に抱き合った。
さも、それが当然であるかのように。
「ただいま、あかね」
「おかえり、賢」

「ふふふっ…一人暮らしだと、誰も答えないか
ら、こーゆーの嬉しいな」
「俺も今、同じこと思ってた」
あかねも同じことを思ってた。
それが嬉しい。
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