今夜はずっと、離してあげない。
ふたり同時に、チャッカマンで火をつける。
先端からパチパチッと火花が弾けて、低くて小さな花火が散る。
千住サマは、友達ではない。
単なる同級生兼訳アリの居候だ。
ただ、一緒にいると心がぽかぽかして、
変な出会いだったけど、会えてよかったって思って、
同じ家に帰ってきてくれていることが、嬉しくなっていた。
この関係に、名前はつくのだろうか。
つけるんだったら、どんな名前になるんだろう。
私の少ない語彙ではつけられないけど、千住サマだったら、つけてくれるかな。
わたしたちにピッタリの名前を。
……だれか、つけてくれるかな。
……あの人なら、
「──────……あ、」
「え、」
丸い火花が、
ぽとり、おちた。