今夜はずっと、離してあげない。



ふたり同時に、チャッカマンで火をつける。


先端からパチパチッと火花が弾けて、低くて小さな花火が散る。



千住サマは、友達ではない。
単なる同級生兼訳アリの居候だ。


ただ、一緒にいると心がぽかぽかして、

変な出会いだったけど、会えてよかったって思って、


同じ家に帰ってきてくれていることが、嬉しくなっていた。



この関係に、名前はつくのだろうか。

つけるんだったら、どんな名前になるんだろう。



私の少ない語彙ではつけられないけど、千住サマだったら、つけてくれるかな。

わたしたちにピッタリの名前を。


……だれか、つけてくれるかな。

……あの人なら、














「──────……あ、」

「え、」





丸い火花が、

ぽとり、おちた。



< 125 / 415 >

この作品をシェア

pagetop