今夜はずっと、離してあげない。
遊園地に来るのは本当に10年ぶりくらい。
一度や二度は行ったことがあるはずだけど、それももう記憶に残っていないし。
「ならジェットコースターに先に乗ってみない?酔いやすかったらまた別の軽いとこに行こう!千井くんと真生もそれでいい?」
「うん。それでいーよ」
「すごいこの子。眠気一瞬で吹き飛ばした」
余計なことを言う千井のつま先を軽く踏んづけて、痛がっている千井を置いてスタスタと前のふたりについていく。
どうやらこのメンツ、遊園地は久しぶりメンバーらしく、ジェットコースターに強いか弱いかそれさえもわからないらしい。
三半規管が強ければ大丈夫だと思うんだけど……私、乗り物なんてそうそう乗らないし。
ここに来るのにも電車と徒歩使っただけだから、よくわからないまま。
「ううっ、わくどきだね!真生!」
「わくどき?」
「わくわくどきどきの略!」
「なるほど」
確かに、ちょっと楽しみ、かも。