今夜はずっと、離してあげない。




そんな私の微妙な、何かを言いたげな表情を見て、大家さんは首を傾げた。




「……あら?違ったかしら。でも、それじゃあなんで氷高ちゃんのご親戚くんがあんな時間にあんなところで──────、」

「いえいえいえ!間違いなんてひとっっつもないです!!」




ぶんぶん首がもげるほど横に振って、引き攣り笑いになりかけの愛想笑いを引き出す。




「やっぱりそうだったの!よかったあ。もしご親戚間で何かトラブルがあったのなら、氷高ちゃんの保護者の方々に連絡しなきゃいけないと思ってたから」




大家さんから吐き出された言葉に、自然とピシッと背筋が伸びる。


……そうなるだろうと思った。
あの人たちには、なるべく迷惑かけないようにしないと。




「すみません。心配をおかけして」

「いいのよ!変な気を起こしたこっちが悪いわ!ごめんなさいね。ただ、氷高ちゃんが心配でね……」



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