今夜はずっと、離してあげない。




「今週のバイトは水曜だけでいいって。文化祭も近いしあんまり入れない旨も伝えておいた」

「お、おかあさん……」

「はいはい」




当初はあんなに嫌がってたおかあさん呼びも、今では慣れてしまったのか、サラッと受け流してしまう。

ある意味成長してる。




「……あの、つかぬことをお伺いしますが、私、どれくらい眠ってました?」

「………三時間くらい?」

「ぶっ叩き起こすか、最悪イスから突き落としてくれてよかったのに……」

「安眠妨害のやり方がえげつないな」



ともかく、今日は休みだし、コンビニ寄って肉まん買うか、と言う千住サマは、私のカバンまで奪っていく。




「ちょ、鞄持ちますから返してください!」

「……氷高、鞄軽すぎ」

「そんな憐れみのこもった目で見ないでくれますか?!置き勉してるだけですよ!鞄重くしたくないんです!!」







そんな鞄の奪い合いをしていたから、気づかなかった。


黒板に書かれた出し物が、あれになっていたなんて──────。



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