今夜はずっと、離してあげない。
「僕はマオマオの中でいくらでも替えがきくんだ……」
「なにもそこまで自分を卑下しなくても……」
「だって事実じゃん……」
ぐずぐず言う千井に、当初はこんなメンタル弱々だとは思ってなかったなあ、なんて、場違いだと感じつつも、考えてしまう。
かといって、千井に期待も、もっと言うと無関心に近いものしか持っていなかったから、裏切られた、なんて思うはずもない。
そもそも。
「あの千住サマと朝水くんが千井と仲良くしてるんだから、替えがきく人なんかじゃないことくらい、誰でもわかってると思うけど」
「……え???」
きょとん、と顔を上げた千井は、やっぱり泣いてない。ぐずぐず言ってただけだった。
……まあ、それをわかっていながら私も声をかけたんだし、今更なんとも思わない。
「……だって、みんな、ちずと那吏と仲良い僕だから、寄ってきてるんじゃないの?」
「なにその大前提。逆だよ、逆。千井だから、千住サマと朝水くんが仲良くしてるんじゃないの?」