今夜はずっと、離してあげない。




「僕はマオマオの中でいくらでも替えがきくんだ……」

「なにもそこまで自分を卑下しなくても……」

「だって事実じゃん……」




ぐずぐず言う千井に、当初はこんなメンタル弱々だとは思ってなかったなあ、なんて、場違いだと感じつつも、考えてしまう。

かといって、千井に期待も、もっと言うと無関心に近いものしか持っていなかったから、裏切られた、なんて思うはずもない。



そもそも。




「あの千住サマと朝水くんが千井と仲良くしてるんだから、替えがきく人なんかじゃないことくらい、誰でもわかってると思うけど」

「……え???」




きょとん、と顔を上げた千井は、やっぱり泣いてない。ぐずぐず言ってただけだった。

……まあ、それをわかっていながら私も声をかけたんだし、今更なんとも思わない。




「……だって、みんな、ちずと那吏と仲良い僕だから、寄ってきてるんじゃないの?」

「なにその大前提。逆だよ、逆。千井だから、千住サマと朝水くんが仲良くしてるんじゃないの?」



< 162 / 415 >

この作品をシェア

pagetop