今夜はずっと、離してあげない。
その子たちの姿が曲がり角に消えた瞬間。
へなっと、凛琉がアスファルトにへたり込んだ。
「凛琉、だいじょ──────、」
慌てて凛琉に近寄ろうとして、言葉を止めた。
大丈夫?
そう聞いたら、凛琉は大丈夫じゃなくても大丈夫って言いそう。
だったら。
「腰、抜けちゃった?」
「あ、あはは……。うん。そうみたい」
気を使わないでいられる言葉にしよう。
凛琉の笑顔は、まだちょっと、ぎこちない。
目も、合わせてくれない。
でも、言葉を交わしてくれるのなら、それでいい。
「凛琉」
「……っ」
名前を呼べば、びくりと肩を揺らして、怖々と顔を上げる。
そんな凛琉に、ニッコリと笑った。
「さっきのこと、話してとも言わないし、話すなとも言わないよ。だけど、いつか凛琉の中でそのことを昇華して、世間話みたいに話せるレベルになったら、話してくれると嬉しい」
あと。あと、言っておきたいことは。
この場で、言わなきゃいけないことは。
「凛琉が私のことをどう思っていようと、私は凛琉のこと、いちばんの友達だって。親友だって、胸を張って言えるよ。それに、凛琉が話してくれるナル様の話、すっごく面白いから、これからも聞かせて」