今夜はずっと、離してあげない。
「ち、ずみさま……?」
気づけば腕を肩に回されていて、抱き寄せるように、守るように包まれていた。
「あ、朝水くんっ……!?」
凛琉の声に慌てて振り向けば、凛琉も同じように朝水くんに抱き寄せられていた。
そして、その朝水くんは、キッと見たこともない顔で女子たちを睨みつけていて。
……朝水くん、あんな顔、できるんだ。
「だ、だれなのよ!!あたしは今そこの子たちと話しを……!」
「手を上げようとしてたのに、どうもこうもあるかよ。……この手、折られたいのか?」
残念ながら、この角度じゃ髪に隠れて千住サマがどんな顔をしてるのかわからない。
だけど、掴む力を強めたのか、ツインテ女子の顔が苦痛に歪んだのは見えた。
「さっさと散れ。じゃなきゃ、全員地面に転がす」
「あ、あの、千住サマ、それはさすがに女子相手にやりすぎなのでは……」
そんな風に宥めようとしていたら、彼の本気度が伝わったらしく、彼女たちはひいっと短く悲鳴を上げて、くるりと反転。目にも留まらぬ速さで逃げていった。