今夜はずっと、離してあげない。
お母様の言葉にそれぞれ別の反応を示していれば、ハタと気づく。
……あれ?でも、そーいえば、お母様は今海外転勤中だって……。
「日本に戻ってきたんですか?」
「……え?」
「あ、えと、千住く、んからお母さんは海外転勤中だって聞いていたので……」
……あ、そうか。
帰ってきているのなら、もう、帰る家はあるんだ。
だから、私の家で、もう出迎えてくれることも、ご飯をつくってくれることも、他愛ない話で盛り上がることも、できない、んだ。
「……うんっと、そういうわけではない、んだけど、しばらくはこっちにいる、かな」
「……あ、そうなん、ですね。それって、千住くんは、」
「まだ知らないの。帰ってきたことも話してないから」
そのことに、ひどくホッとしている自分がいた。
こんなこと思っちゃダメだって、分かってるけど。どうしようもなく、安心した自分がいて。
……そんなことを思ってしまった自分が、ひどく醜く見えた。