今夜はずっと、離してあげない。
おかえりの夜





「もー、ちずとマオマオが喧嘩したって聞いた時はどうなるかと思った!」

「うん。私もどうなるかと思った」

「喧嘩した本人が言うセリフ?!」




以前と同じような会話。

千井がいつも通り窓から顔を出して、朝水くんもいつも通り……いや。朝水くんはいつも通りではないけど。


なんか、凛琉とこそこそ内緒話をしていたり。



そして、ちず……こほん。

伽夜、は、というと。




「真生、ケチャップついてる」

「え、どこですか」

「ここ」




なんか、おかあさん度が増した。


ここ、と唇の端を指さされて、慌てて拭う。

……と、ポケットティッシュを差し出される。




「ありがとうございます」

「ん」




そんなフツーの、至っていつも通りのやりとりをしていれば。

横からぐさぐさと突き刺さりまくる視線が。




「……ちずとマオマオ、付き合ったの?」

「そうとしか思えない……」



なんか、あらぬ勘違いをされていた。



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