今夜はずっと、離してあげない。




「千井、凛琉、何変な勘違いしてるの。ちず、伽夜サマ、ごほん。伽夜に失礼」

「名前2回も呼び間違えてるし、これは違うか……」

「千井は失礼度が増したよね」




ただ単に仲良くなったっていう解釈はできないのかな。


みんながみんな、最近色恋沙汰に目をぎらつかせている気がする。




「前よりもちょっと仲良くなっただけだよ」

「……まあ、喧嘩するほど仲がいい、とは言うけど」




どうにも納得がいっていなさそうな千井は、ちらりと伽夜を伺い見る。


その視線に、一貫して気づかないフリを続けている伽夜は、さっさと食べろとせかしてくる。





あの後、びしょびしょになった伽夜を風呂場に突っ込んだり、数日にして綺麗だった部屋がゴチャゴチャになっている惨状に叱られたりと、まあいろんなことが起こり。


けれど、示し合わせたわけじゃないのに。

なぜか私たちは、あの日からお互いを下の名前で呼ぶようになった。



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