今夜はずっと、離してあげない。
──────それから。
3週間みっちり組まれたスパルタバレンタイン期間の成果で、私は〝下手の横好きレベル〟のマカロンを作り上げることに成功した。
そうして迎えた、バレンタイン当日。凛琉からは手作りの一口大生チョコタルトをもらった。
「えっ、うそ、すっごく美味しい!真生がここまで上達するとは!」
「なにせ千住伽夜さまの監修のもとなので」
そして──────、
「……え、あの、伽夜、これはなんですか?」
「ああ、バレンタインチョコ」
「伽夜から?!」
なぜか、すごーく美味しそうなフォンダンショコラをド本命から貰ってしまった。
「別に、男子から贈ってもなんら問題ないだろ」
「それは、そうかもですけど……」
「最初はマカロン作ろうと思ってたけど、真生と被ったからいそいで変えた」
「だからあんなに材料揃ってたんですか?!」
そのフォンダンショコラは、もちろんその日のうちに美味しくいただき。
……なんか、美味しすぎて若干くやしい気持ちもあったけど。
……そんなこんながあって、後日凛琉にスパルタ期間のことを話せば。
「ねえ、実のところ真生と千住くんは結婚して2年目の夫婦でしょ?」
なんてことを突っ込まれたバレンタインであった。
─────事故の夜/氷高真生side