今夜はずっと、離してあげない。



葉柴は残念ながら今回も廊下側を死守してしまったらしく、それに加えて朝水も昼休みと放課後に隣のクラスに入り浸るようになって、葉柴は真生と話す時間があまりない。


そんな都合が重なって、真生は新しい友人を得た、らしいが。




「ちず〜、顔こわいよ」

「千井だまれ」

「八つ当たりも甚だしいお言葉で!」




移動教室。

体育館に行くには回り道になる迂回路の途中で、隣のクラスを覗き見れば。


相も変わらず、真生は隣の男子と仲良さげに何かを話している。

甚だ遺憾。




「だーから言ってるじゃん?浅羽(あさばね)は悪いやつじゃないって」

「いい顔してるだけかもしんないだろーが」

「いやいや、浅羽僕らと同じ真渡中出身で、ちずに至っては3年間同じクラスだからね?覚えてないだろーけど」

「………………あんな奴いたか?」

「やっぱり!!!」


< 362 / 415 >

この作品をシェア

pagetop