今夜はずっと、離してあげない。





「……真生、悪い、遅くなった」




がらり、扉を開ければ、彼女以外人っ子一人いないと思っていたが、隣の席の浅羽とかいう奴だけが残っていた。


廊下にまで聞こえる笑い声と話し声で、残っているんだろうな、とは思っていたけど。




「あ、じゃあおれも帰るね。また明日、氷高さん」

「うん。ありがとう、付き合ってくれて。また明日ね、浅羽くん」




ばいばい、と軽く手を振って、浅羽が俺の隣を抜けて帰っていく。




「先生の用事、終わりましたか?」

「………ああ」

「それじゃあ帰りましょうか、」

「真生」




目の前まで小走りで駆け寄ってきた真生の華奢な腕を捕まえて、本能の赴くままに自分の胸元まで引きずり、囲い込む。




「……、え?あ、の、伽夜?」

「………」

「こ、ここでだんまりされると困るんですけど……」

「………」

「え、えええ……。私、何か誉められるようなことしました?」

「してない」

「そこは即答するんですね」


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