今夜はずっと、離してあげない。
*
「……真生、悪い、遅くなった」
がらり、扉を開ければ、彼女以外人っ子一人いないと思っていたが、隣の席の浅羽とかいう奴だけが残っていた。
廊下にまで聞こえる笑い声と話し声で、残っているんだろうな、とは思っていたけど。
「あ、じゃあおれも帰るね。また明日、氷高さん」
「うん。ありがとう、付き合ってくれて。また明日ね、浅羽くん」
ばいばい、と軽く手を振って、浅羽が俺の隣を抜けて帰っていく。
「先生の用事、終わりましたか?」
「………ああ」
「それじゃあ帰りましょうか、」
「真生」
目の前まで小走りで駆け寄ってきた真生の華奢な腕を捕まえて、本能の赴くままに自分の胸元まで引きずり、囲い込む。
「……、え?あ、の、伽夜?」
「………」
「こ、ここでだんまりされると困るんですけど……」
「………」
「え、えええ……。私、何か誉められるようなことしました?」
「してない」
「そこは即答するんですね」