今夜はずっと、離してあげない。




「う、ううんむ、まって、それは、伽夜、マグマ……、のど、焼ける……」

「お前は一体どんな夢見てんの……?」



んんんっ、と眉を寄せてくるしそうにしている彼女の眉間をとん、とつつけば、くぅくぅとまたしずかな眠りに落ちていく。


そのあざやかな切り替えに少々あきれながらも、ソファにかけていたブランケットをばさりとかける。

手はつないだまま、一緒の夢をみるように。






─────翌日の、朝の食卓にて。

昨日寝言ひどかったけど、どんな夢を見たんだ?と聞いたところ。

「伽夜がなぜかカレーにデスソースをだばだば入れたものを食べて、口からファイヤーした夢見たんですよね……。それであの、すこしの間辛い料理はひかえてもらえると嬉しいなって……」


などという愛くるしい彼女の要望により、氷高家の食卓には、当分辛いものは出なかったそうな。






(後日。真生が浅羽に中学時代の伽夜のことを根掘り葉掘り聞いていたと聞き知った伽夜に、なぜかこっぴどく叱られることになる氷高真生であった)


「なんか俺に言い訳ある?」

「え、ええ、な、なんかすみませんでした?」





────(氷高真生の)知らない夜/千住伽夜side



Fin𓈒𓂃




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