今夜はずっと、離してあげない。



ハタから見れば、そんな風に思う俺は不憫に見えるのだろうか。

……真生が穏やかにすごせるその日々が、すべて俺の意志だと言えば、嗤われるのだろうか。

別に、どうだっていいけど。



もちろん、大切にする方法も、大事だと伝えるやり方も人それぞれだ。

それに、これから増えたり減ったり、変わっていくものでもあるだろうけど。唯一、その中で俺の変わらないことがあるとするならば。



それはきっと、お前がただいまと言って帰ってきてくれるなら、俺はただ、おかえりをたずさえて迎えることだ。

明かりをつけて、あったかくして、お前のためだけの料理をつくって、いつまでも。


……なんてことをあの日、センセにいちばん近いであろう場所で自分に誓い、そして戒めたりしたこともある。


当たり前に、伝える勇気は、いまはまだ持ち合わせていないけど。

いつか、伝えられたら、それでいい。


この日々が永遠に続くと思われるような、そんな穏やかな日常の狭間で。

誓いの指環と一緒に。


……とか思ってたこと、恥ずいし格好がつかないから、絶対おしえてやらないけど。


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