今夜はずっと、離してあげない。



「……うう、」

「んだよ。枕に顔押し付けて」

「……きのうこいびとになったのに、かやがやさしくない」



布団を取られたことへの不満8割、昨日の恥ずかしさがぶり返したのが2割ってところで。

そのせいか、枕越しに上目で伽夜を見つめることになってしまった。



「……いや恋人になったからって優しくするわけねえだろ」

「それは重々わかってます」

「わかってるなら、さっさと着替えて準備しろ」

「あだっ、」



頭に的確なチョップを落とされ、痛みに悶えながら顔を上げたら。



「今日はせっかくのクリスマスなんだ。いつもは行かないところ行くか」

「え……?」



そこには、ひどくやさしく緩んだ口角が浮かび上がった、今までと違う表情の伽夜がいた。



「所謂クリスマスデート、するぞ」

「くりっ、デッ?!」



冬は毎年こもりがちの私に、早速試練が訪れようとしている模様です。



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