今夜はずっと、離してあげない。



けれど、着られている感は当たり前にあるし、なんとなく他にもオシャレ、をした方がよいということは私にもよーっくわかるのだ、が。



「……凛琉にちゃんとメイクとかヘアアレンジとか、教わっておくんだった」



興味ナシに加え、私が不器用というのもあり、ついでに馬子にも衣装と決めつけていたから、今までそんなものには一切手を出してこなかったのだ。

今急にできるようになるはずもなく。

こうして、私が落ち込むひとつの要因になってしまっている。



「……昨日はそこまで気にしてなかったのにか?」

「昨日は気にする余裕とかなかっただけです。……け、ど、今日は、……きょう、くらい、は、」



ちゃんと、したほうが、いいかなって。

……ちゃんと、したいな、って、思って。なんて。



「……すこしくらい、浮かれても、いいじゃない、ですか」



ぽそっ、とそんな呟きを落とした直後だった。



「……はあ。メイク道具とか、ヘアアイロン?コテ?だっけ。そーゆーのは持ってんの」

「え?……あ、はい。それは、凛琉からお下がりでもらったり、一緒に買い物に行った時に買ったりしたので、持ってます、けど……」



まさか、と思いながら顔を上げると。



「昼には出るぞ」



すでにスマホ片手に準備している伽夜がいた。



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