今夜はずっと、離してあげない。



約束とも言えない契りを口にして、でもそれはきっと緩やかな時間の中で確かに訪れるものであることを、確信したりして。

12月25日。クリスマスの夜は更けていく。


未来のことなどわからないし、もしかしたら何かがキッカケで道が分たれることもあるかもしれない。

でも、それは今じゃない。それだけで、もうじゅうぶんだ。


不安や恐怖がないと言えば嘘になるけれど、それでも。



「……そろそろ帰るか。風邪ひいて、千井たちとの初詣行けなかったら困るしな」

「それもそうですね」



何を言うでもなく重なる手が、私たちの意思で、願いだから、繋がる間は心配いらない。



「あ、そういえば、ここのツリー、何かジンクスがあるみたいでしたよ」

「は?そんなの、誰から聞いたんだ」

「買い物してる時に、そばにいた人たちが話してました。確か、ええっと……」



それはおそらく、ただの世間話の一貫。

思い出したのも、話の話題のため。だってふたりとも、信じてないから。



「ツリーの下で約束をすると、必ず叶うとかなんとか」

「そんなので叶ったら苦労ないだろ」

「あ、やっぱりそう思います?」



不特定多数によって囁かれる願いより、互いのことしか信じてないんだから、仕方がない。



「帰ったら年越しそばの準備と、あとおせちの下拵えでもするか……」

「私鴨南蛮そば食べたいです!」

「お前何気に面倒くさい要求してくんのやめてくんない?……おせち、何か入れて欲しい料理とかあるか?洋風とか和風でもいいけど」

「うーん……、私、おせちって食べたことないんですね。だから何でもいいです。あ、けどお雑煮は希望します!」

「はいはい」



伽夜が呆れたように笑ったのを見て、私も肩をすくめて笑い合う。

この人と歩む帰路が、いつでも笑みがたえないのは、なぜなんだろう。









─────そんな風に過ぎていった、クリスマスの7日後。

元旦の朝にて。



「おい真生、早くしないと葉柴との約束に遅れるぞ!」

「はーい!!」



大声で返事をしながら、目の前に置いたそれを見て自然と口元が緩んでいく。



「……いってきます、あかねさん」



ぽつり、と呟いてパタパタと着崩れしないよう気をつけながら玄関へ向かう中。

部屋に取り残された独り言のそばには、桜吹雪が舞う中学校の正門前で戯れ合う私とあかねさんの写真の横にある、クリスマスツリーを背景に見つめ合って笑い合う私と伽夜の写真が、あたたかい部屋をひっそりと照らしていた。



end & MerryXmas!!!

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