今夜はずっと、離してあげない。
触れた夜





「本日も快晴なり!だね!」

「暑すぎてしにそう……」



千住サマを拾って、早三ヶ月が過ぎ去った。


四月はなんとか持ち堪えていた桜の面影もなく、いまでは蒸し暑い風で葉っぱを揺らしている。



「高校で水泳なくてよかった〜。わたしカナヅチだから」

「私は今やってるバレーの方が嫌だった……」



ぽーん、と高く上がるボール。

氷高さーん!って名前を呼ばれるけど、正直期待しないでほしい。ほんと。


連日連夜のバイトで体力はついてるけど、運動神経はもはやマイナスあたりにいってる人だからね。


これ、トスした方がいい?それともれしーぶ?


大体落下地点はここだろうとアタリをつけて、れしーぶの構えを取る。


……よし、今度こそはだいじょぅ─────



なんてことを思った瞬間。


べちーん!!と、先程と同じく、かったいボールが額にぶち当たった。



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