今夜はずっと、離してあげない。





「……なあ、」

「……あ、はい。なんですか?」

「さっきからおまえ、おかしくないか?」

「………気のせいでは??」



目を逸らしながら、本日のメインである麻婆豆腐を口に含む。


ううむ。うまい。うますぎる。
どうしたらこんな味を出せるんだろう。不思議で仕方ない。


……なんてことを考えていても、流されてくれるワケもなく。



「さっきからぜんっぜん目が合わないんだけど、なんなんだよお前」

「……いやあ、はは」

「笑ってごまかせるほどお前嘘上手くないからな」

「ゔっ、」



千井から余計なことを聞いてしまった日の夜。


案の定、あのことを聞いてなんだか顔を合わせづらくなってしまい、それが明らかに態度に出てしまっていたらしい。



喉に麻婆豆腐が詰まってごほごほっ、と咳き込めば、お茶をコップに入れてくれる。

お昼にあんなに煽ったのに、ちゃんとおかあさんしてる。



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