バカな君へ、贈る愛
お茶を飲んでいると、わたしの心の声でも聞こえたのか、おうくんは難しい顔になった。
「俺の両親さ」
「ん……?」
「蒸発したんだよ」
「……え?」
おうくんは、眉を一つ動かすことなく、その言葉を口からもらした。
蒸発……。
「俺の両親……俺が子供の頃からずっと不仲で。2人で楽しく笑ったところ、俺、見たことねぇ」
下を向きながら、力のない声で話すおうくん。
「そう、だったんだ……」
「見たことねぇどころか、あの日から数年間、俺はずっと……」
おうくんは喋りながら、膝に乗せてある両手をグッと握った。
「俺はあの日から、何年も両親の顔も見てないし、今どこで暮らしてんのかも分かんね。まあ、はっきりしてることといえば、親は別々の場所にいることくらいだろーな」
わたしは、瞬きをしながらおうくんの顔を見続けるしかなかった。