もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
 振り向けばそこにいたアイツは、どんなあたしを好きでいてくれたんだろう。
 いまのあたしにも、それはまだ、あるんだろうか。

 ふいに、涼子(りょうこ)の顔がぼやけてにじんだ。
「あ…きお?」
 目をつぶると、つーっと温かいものが(ほほ)を伝わる。
 でもこれは、きっと涙とはちがうものだ。
 だって、うれしいのに、泣いたりするはずないんだから。

 だれが好きで、なにが好きで、どうしたいのか。
 こんなにはっきりわかったのに、泣いたりなんかしていられない。

 まぶたの裏には、たくさんの思い出。

 つらかった。
 ひとりだった。
 いまはむだにすごしたってわかる4年間のじゃない。
 いつもそこにいただれかと、いっしょの……思い出。

「帰ろっか……」
 そう。帰ろう。
「でも、藤島(ふじしま)くん…は? いいの? 待たなくて」
「うん」
 いいの。
 アイツとは、やり直すんだから。
 そう。
 もう一度、はじめから……。
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