もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
1.ごぼう姫と姫オブ姫
1.ごぼう姫と姫オブ姫

 今日の女子の体育は軟式テニス。
 ラケットの振りかたもろくに知らない娘たちが、キャラキャラ笑いながらボールを追いかけているコレが、テニスって言えるなら…だけど。
 ううう。
 こんなの耐えられるか、ばかやろぉ――っ!
 握りしめたゴムの球に、ひとりこっそりやつあたりをしていると、
「おらおらおら、そこのごぼう姫」
 失礼なオヤジの声。
「先生、それってまさか、あたしのこと?」
 わかっているけど、とぼけた顔で。
 あたしが人さし指で自分の鼻を指すと、先生がうれしそうにニヤニヤうなずく。
 姫とつければひとの容姿をからかうことはセクハラじゃないと思っているダメ教師。
 169センチ、55キロ。
 日焼け止めなんて使わないから夏に焼けた肌はまだゴボウ色。
 まぁ、あたしに関してはセクハラでもないかもね。

「そうそう、おまえだ、城ヶ根(しろがね) 明緒(あきお)。ヒマこいとらんで、ちゃんと参加せーよ、こら」
「…っつったって先生ねえ」
「まだ言うか? しかたねえだろ。グラウンドは男子が使ってるんだからよ」
 ちぇっ。
「いつだって男子優先で。それって差別じゃないの?」
「だったら、おまえだけ男子とサッカーやってくるか? お姫ちゃん」
 そうしたいよ、できるなら。
 こんなにすばらしい秋晴れなのに。
 男子は気持ちよさそうに走り回ってるのに。
 なんだって女子だけが、こーんな校庭の片隅の、こーんなせまい(おり)のなかに押しこめられて、パコンパコン軟式テニスなの?
 こんなの絶対、差別だ!
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