惚れたら最後。
『承りました。一般人ならすぐお調べできますが、あなたが1ヶ月もかかって見つけられない人間とならば、その道のプロかもしれませんのでお時間をいただきます。
その女性を探しているのはよほどの事情がおありですか？』



送るとすぐに入力中の表示が出て、しばらくしてから新しいメッセージが来た。




『何のために俺に近づいたのか知りたい。杞憂ならばその女と会って話したい。
もしその女を見つけたら、敵意はない、危害を加えたりしないからただ会いたいと伝えてほしい』




やはり怪しまれていたか、と顔をしかめた。

だけど会って話したい、会いたいだなんてまるで恋をしてる人みたい。

全くもってチンプンカンプンだ。

……でも、探してる女は一生お前の前に現れないよ。

私は闇に溶け込む梟、お前は闇を支配する“白狼”。住んでいる場所も時間も違う。

絶対会ってなるもんか、この幸せを壊されたくない。

私は深く息を吐いて固く決意し、何事もなかったのように仕事を再開した。
< 18 / 312 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop