惚れたら最後。
「……絆、お話なら奥の部屋でごゆっくりどうぞ」

航介(こうすけ)さん……。悪い、店の雰囲気悪くして」

「いいえ、会えてよかったね。ただ乱暴はよくないぞ」



にっこりと笑う店主の名は鳴海航介。

彼は先代組長の付き人、鳴海司水(なるみしすい)の実の弟であり、鳴海憂雅の叔父に当たる。

彼は過去に“相川壱華”を裏切り黒帝に加担(かたん)したとして事情を知る者から白い目で見られていたらしい。

そんなことを頭の中でまとめていると、荒瀬絆が腕を回してきて、突然腰を抱いた。



「えっ……なんっ…」

「……お前はこっちに来い」

「……は、はい」



あ耳元でささやかれる熱のこもった声。

官能的な声に身動きがとれなくなった私はされるがままエスコートを受け、奥の部屋へ進んだ。
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