愛は惜しみなく与う【番外編】
あたしは頷いて、後ろにぶら下がってるヘルメットを取って、頭につける。

そんでバイクに飛び乗った


あたしが乗ったのを確認してバイクは動く。


泉の背中


なんか泣きそう


何で避けてたんやろな


もうわかった


あたし普通に泉のこと好きやん


結構前からわかってたのに



「ごめんな、好きやで」



涙を堪えた
爆音の中あたしの小さな声は掻き消された。

ようやく自分の気持ちに素直になれた。

あたしは素直なんが取り柄やからな。
取り柄が無くなるところやったわ。


「杏」

「どーしたん?」


「…2人になれるところ行っていい?」


2人?そう聞こえた気がする。
もうどこでもいいよ。泉と一緒なら

頷くついでに泉の背中に軽く頭突きをしといた。


わからんけど、泉が笑ったような気がした



そしてそのままバイクは走り続けた。結構長い間。どこまで行くんやろ?そう思いながら見慣れない景色を、泉の背中にくっつきながら見た。

だんだん外も暗くなってくる
冬は陽が落ちるのが早い



「どこ向かってんの?」

「綺麗なとこ」
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