やり直せる?

···やり直したい


一晩考えて
邪険にしてきたのは
自分ではないかと思い
「もう一度、やり直したい
やり直させて欲しい。」
と、近野さんから妻に伝えて貰った。

あいつの姉のカフェにも行き
あいつにあわせて欲しいと
もう一度だけ、チャンスが
欲しいと頭をさげた。

義姉の佳英さんは、結婚の時から
あんまり賛成されていなかったが
義兄の拓斗さんが
後押ししてくれたから
結婚できた
拓斗さんが力になってくれると
俺は、安易に考えていた。

姉の佳英さんからは、
「離婚に同意して紗英を自由に
してあげて欲しい。」
と、かえって頭を下げられた。

拓斗さんは、
「あの時、佳英が勧めないのに
俺が、ああ言ったばかりに
紗英ちゃんが、長い間
寂しく、辛い日々を過ごす事に
なってしまって申し訳ないと
思っているんだ。
まだ、まだ、若い紗英ちゃんと
貴方は老夫婦以下の生活を送っている。
今は、年をとられた夫婦でも
仲むつまじくされている方々は
沢山います。
どちらかが、我慢して
過ごす···なんて
そんなものは夫婦ではないと
俺は、思っています。

所詮夫婦と言えども他人です。
人は、言葉にしないと
何も伝わらない。
感謝の気持ちや愛情の気持ち
忘れては行けないのでは
ありませんか?
俺は、紗英ちゃんに
寂しく冷たい
そんな人生を歩んで欲しくて
あなたとの結婚を勧めたわけではなく
紗英ちゃんが、楽しく充実した
毎日を送って欲しくて·····
幸せな結婚をして欲しかっただけなんだ。

何十年も一人で生きてきた用な
人生をあなたは、本当にやり直しが
できますか?
何年も何年も、紗英ちゃんから
信号は、でていたはずなんです。
それを、仕事だから
責任があるから
付き合いも大事だと
自分の事しか考えてこなかった
あなたが。

紗英ちゃんは、
あなたに何も望んでいません。
ただ、離婚をして
あなたからも夫婦と言う枠からも
解放されたいだけなんです。
もう一度、良く紗英ちゃんの
事を考えて見て下さい。」
そんな風に拓斗さんから
言われた。

俺は、やるせない気持ちだった。

家に帰ると
紗英と出会った頃からが
思いだされた。

こんな風にならなかったら
思い出す事もなかったはずだ。

それだけ、あいつを
紗英を認識していなかったと
いうことだ。
< 13 / 41 >

この作品をシェア

pagetop