やり直せる?

▶▶お幸せに

イブの日······

イルミネーションの綺麗な公園で
待ち合わせをした。

恋人達がイルミネーションに
目を向けている。
本当に···綺麗だ·····

見とれていると
「あの?一人ですか?」
と、声をかけられて
「いえ、待ち合わせをしています。」
と、答えると
「そうですか?待ち人が来るまで
ここにいても。」
と、言われて
おかしくなり
「うふふ、はい。公園ですので。」
と、伝えると
頭をかきながら
「ありがとう。」
と、言った。

それぞれに、立ったまま
静にイルミネーションに
目を向けていた。

「紗英」
と、呼ばれて
振り向くと、早足でくる貴史
「貴史」
と、声がもれる
間近にきた、貴史に抱きしめられ
「ごめん、遅れた。」
「クスクスっ、大丈夫。
イルミネーションを見てたから
とっても、綺麗で。
こんな場所で、こんな風に
イルミネーションをみるなんて
何十年ぶりかな·····
ありがとう。」
と、言うとギュッと一度抱き締めてから
「行こうか。」
と、言う貴史に頷づくと
手を繋いでくれた。

私は、ポケットに入れていた
チョコレートをクリスマスバージョンに
ラッピングした物を
隣にいた彼に
「風邪などひかないように。」
と、渡すと
彼は、びっくりした顔をして
「ありがとう。御幸せに。」
と、言ってくれたから
頭を下げた。

貴史は、ん?
と、言う顔をしていたから
私は首をふりながら
貴史の腕に自分の腕を回して
寄り添い
「好きだよ、とっても。」
と、伝えると
息をのむ気配がして
「どうして、今言うかな?
レストラン予約しているから
行かなきゃならないのに。」
と、笑いながら言って
私の頭にキスをする貴史は、
「愛してる。」
と、伝えてくれた。

貴史が予約してくれた
レストランは、個室で
夜景が綺麗だった

夜景に目を取られていたら
貴史に後ろから抱き締められて
「会えなくて寂しかった。」
と、言うから
「私も。」
と、言いお腹に回る貴史の手に
自分の手を添えた。

そこへ、料理が運ばれてきて
微笑みながら席についた。
どの料理も美味しくて
久々に会えた事も嬉しくて
話しも弾んだ。

最後に、レストランのスタッフの方が
アレンジメントの花を持ってきて
くれて私の前に置く
前に丸い箱があり
それを囲むように花がアレンジ
されていて
とっても可愛かった。
ん?と、貴史を見ると
「開けて」と。

開くて中には指輪が·····

私の顔は、みるみるうちに破顔していき
涙が溢れる

指輪が欲しかったわけではない

これを考えてくれた貴史の気持ちが
嬉しかった。

貴史は、指輪を取ると
私の左手薬指にはめて
「ずっと、ずっと、一緒に居よう。
紗英、愛してる。」
と、言ってくれたから
何度も頷きながら
口ぱくで『ありがとう』
と、伝えて
貴史の首に腕を回した。

貴史が私の背中を優しく
撫でてくれた。

この人と出会えて
本当に良かった。

人生をやり直す事に
抵抗がなかったわけではない。
日常の生活もあったし
子供もいる。
だけど、あのままだったら
いつか、限界がきていただろう

私にも落ち度は沢山あった筈だ。

だからこそ、もう間違えない
貴史と、もう一度、最初から
やり直す。


誰でもやり直しは、
きっと·····出きると思う。

少しの勇気と
少しの希望があれば····

これから先の
人生を····あなたと·····

             end
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