HEAVEN's Door
5.最初で最後のデート
差し出された手をあたしは握りしめる。



パパでもない、祥太郎でも光さんでもない。

手の温もり。

もうこの世にいないはずの、本当のパパの温もり。

ずっと感じたかった温もり。

そして、安心感がそこにはあった。



「僕、真由ちゃんを後ろに乗せてここに来た事があるんだ、GWに」

拓海くんはゆっくり歩きながらあたしは話に付き合う。



そこには。

あたしの知らないママと本当のパパがいた。



「行きはゆっくりと走っていたんだけどね。
帰りに変な奴らに絡まれて。
本気で走って逃げたんだ」

拓海くんが本気で走ったら。

ママは死んじゃうんじゃないかと思う。

「途中、対向車線にそーちゃんがいて慌ててUターンして、僕を停めたんだ。
目茶苦茶怒られたよ。
真由ちゃんは泣くし…」

「…そりゃ、泣くと思う」

あたしは苦笑いをした。
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