パトリツィア・ホテル



〜前日の出来事〜


神澤さんと対面する前日。

私は一人、投資会社『ル・インベスチェ』の応接室でガチガチに緊張しながら彼女を待っていた。

それはかつて、大型ホテルの経営者と結婚したものの、融資元の金融機関の選定について夫と意見が対立した……
だがしかし、社長と離婚して以降はその類稀なる資産運用の手腕を存分に発揮して、この投資会社の女社長の座にまで上り詰めた稀代の才女。

巷では『美しすぎる女社長』と揶揄されている、『流風 亜紀』さん。

その旧姓は『新宮』……そう。

あの日、パトリツィアで幼い勇人を捨てたお母さん……その人を待っていたのだ。




前日までに膨大な量の新聞や雑誌を調べに調べて亜紀さんの現在を突き止めた私と朱里は、その凄過ぎる素性に萎縮してしまった。

しかし同時に……
彼女こそ、パトリツィアの直面している最大の危機を解決するための切り札になるに違いない!

そう確信して、お互いにガッツポーズを決めたのだった。
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