パトリツィア・ホテル
キラキラと笑顔を輝かせる勇人の手の平から、優しい温もりが伝わってくる。

私は絶対に、この手を離さない。

そう……あなたのお母さんとも、約束したんだ。




私は思い出す。

勝負のあの日の後……再び、私は亜紀さんに会った。

-咲さん。勇人をよろしくね。

彼女は寂しそうな笑顔で、自分の想いを私に託した。

-勇人は何でもできるように見えて、実はとっても脆くて壊れやすい子なの。
そう……そんなトコ、私に似てしまってるの。

時々見せる、勇人の堪らなく寂しそうな顔。ゾクッとするほどの冷たさ。

彼女はそれを自分の所為だと、自責の念に駆られていた。

-あなたのおかげで、私は勇人と会えるようになったけれど。それでもやっぱり、ずっと一緒にいることはできないの。

彼女は薄らと目に涙を浮かべた。

-だから……本当に自分勝手で我儘だってことは分かってる。でも、あなたがずっと、勇人の傍にいて、支えてあげて。それがきっと、勇人にとっても一番に幸せなことだから。


そんな亜紀さんの手をギュッと握って、約束した。

私は絶対に、勇人の手を離さない……これから先、何があっても二人で乗り越えて、世界で一番に幸せになるんだって。
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