パトリツィア・ホテル
|最終章 はじまりの場所……パトリツィア

「わぁ、すっごい広い! これが、パトリツィアのスイートルーム……」


勇人と一緒に入った途端、私の口からは嘆息が漏れた。


最大の危機を乗り越えた私達は、半ばで帰ることになってしまったバカンスの続きをここ……パトリツィアで過ごすことになったのだ。


「咲ちゃんのために一番、いい部屋にしてもらったんだ。何しろ、パトリツィアの命の恩人だから」

「何よ、大袈裟ね。私の力というよりは、勇人のお母さん……亜紀さんのおかげでしょ」


照れ隠しにそう言ったものの、私は嬉しくって顔が火照っていた。

あの日から、勇人と亜紀さんは繋がりを持って、時々だけど会っている。

そして、以前は勇人の心の奥に潜んでいた、どうしようもない寂しさ……壊れそうなほどの冷たさは、段々と癒されている。

そのことが目に見えて分かるだけで、私はこの上なく幸せなのだ。


「よしっ、それじゃあランドに行こう!」

「うん!」


俄然、ワクワクしている私に、勇人はニッと白い歯を見せた。


「今日はさ、とっておきのイベントも用意しているんだ」

「え、イベント? どんな? どんな?」

「それは、ランドに入ってからのお楽しみ〜!」


悪戯っぽくにっこりと笑う彼の表情に、ときめきとワクワクが入り混じって、私の胸はドキドキと忙しなく鳴った。
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