パトリツィア・ホテル
それに、何かあの顔……見覚えがあるような気がする。

遥か遠い昔、どこかで会ったことがあるような……。

でも、思い出せなくて。

もどかしい想いをしているうちに、新入生代表の挨拶は終わり、入学式は終了した。





「ホント、カッコいいよね。新宮君と同じクラスだなんて、私達、ツイてるわぁ」

「うん……」


教室に帰ってからも、朱里は目を輝かせて声を弾ませていた。

確かにカッコいい。

カッコいい……んだけど、別に、ツイているとは思えない。

だって、どうせ、私達庶民とは違い過ぎるし。

相手にされるワケがない。

でも……そんなドライで冷めた考えは口に出さずに、女子達のみずみずしい瞳を独占する彼に目をやった。



イケメンな彼はやはり、このクラスでトップクラスの男子とつるみ始めていた。

町病院の院長さんの息子で、甘いマスクが持ち味の絹川くん。

新しくできたベンチャー企業『サクセス・ストーリー』の経営者の息子で、マッチョなイケメン、紺野くん。

早速、初めて会ったはずのこの二人と親しげに話していた。


だけども……

(何か……無理してるように見えるんだよなぁ)

超エリート御曹司の二人と話す新宮くんの笑顔は、どこか、苦しげに見えた。
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