パトリツィア・ホテル
その時だった。


「はじめまして!」


その三人に、とびきりの美女……金色の髪に緑色の瞳をした、まるで外国人かと思うようなゴージャスな美人女子が話しかけたのだ。




「私、神澤 麗(れい)っていいます」


すると、マッチョイケメンの紺野くんがすぐさま食い付いた。


「神澤って……もしかして、あの神澤ファイナンシャル・グループの令嬢様!?」


紺野くんの言葉に、今度は男子達が色めき立った。

そりゃあ、そうだ。

世界的な規模の大型金融グループ長の令嬢……それは、世の大半の男子にとっても、初めて見る人種で。

それに、彼女の溢れんばかりの美貌は、クラスの男子達を一瞬にして虜にした。


神澤さんは上品な口角を上げてうなずき、その艶やかな瞳を新宮くんに向けた。



「ねぇ、新宮くん。覚えてらっしゃる? 二年前……パトリツィア・ホテルの創立二十周年記念パーティに、私も出席していたのよ」


「あ、あぁ。覚えているよ。神澤さんがすっごく綺麗で、見とれていた。それに、神澤ファイナンシャル・グループは、うちがホテルを創立する時に巨額の融資をしてくれたからね」


「まぁ……嬉しい。同じクラスになれて、私達、素敵な関係になれそうね」


「あぁ、そうだね」



新宮くんと神澤さんは、誰も入り込めない、薔薇色の会話を始めた。
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