カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「ハァ、ハァ」
自分の息づかいしか聞こえてこない脱衣所で、俺は熱くたぎる胸の中を押さえつけた。
「……隼世さん?」
彼女はもう一度バスタオルで体を覆い、怪訝そうに同じく体を起こす。
これ以上彼女を見ていたら危険だと判断し、俺は胡座をかいて背を向けた。
「こんなことをして申し訳なかった。なんて謝ったらいいのか……。とりあえず、今のうちに着替えて来てくれないか」
振り向いてもう一度キスをしたくなる欲求を噛み潰しながら伝える。
「……私、いい、ですよ。このまま……」
グッと心を鷲掴みにされた。
背後から魅力的な提案をしてくる彼女に、俺の背中は我慢と欲望との間で揺れ動く。もちろん、抱きたい。
しかし菜々花さんはこの関係に流されているのだと思う。やはり二週間では短いのだ。こうして体から入る関係などいいわけない。かと言って、今気持ちを聞かせてくれと言うのは彼女抱きたさに結論を急かしているも同じ。
曖昧な関係になりたくない。間違った手順のまま先に進んでは、行き当たりばったりの軽い気持ちだと誤解を招く。
この期間を終えてから改めて気持ちを確認し、その後じっくりと恋人としての時間を重ね、プロポーズも、やり直したい。