カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~




……ここはどこだ。

目を覚ますと、俺は知らない部屋で、真っ白なシーツのベッドの上で眠っていた。
だるさの残る体を起こし、機械のようにゆっくり顔を動かして中を見回す。

ネイビーのカーテンの隙間から朝日が差し、チュンチュンという小鳥のさえずりが聞こえている。外は爽やかな朝だ。

ベッドのほかに、右手に簡素な鏡台がある。ちょうどそこに映った自分と目が合った。
ワックスでセットされたまま眠ったらしい黒髪は乱れに乱れ、無愛想で鋭いつり目はどんよりと歪んでいる。それに、なぜか上半身は裸。

そっと掛け布団をめくる。よかった、下は履いている。スーツのままだが。
……ベルトはしていないな、と気づいて目で探すと、鏡台の椅子の背もたれにワイシャツやジャケットと一緒にかかっているのを発見した。

この狭い個室はおそらく、どこかのビジネスホテルだろう。
そうか、昨日は金曜で、部署の飲み会だった。かなり飲まされ、ひどい酔い方をした気がする。記憶がない。帰れなくなってここへ泊まったのだろうか。

……いったいどうやって?
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