カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「そうか! ならば責任をもって全うしろ!」
これがお父様も求めていた答えだったのだろうか。厳格な表情の中にも柔らかな微笑みが浮かび、私にその目が向けられる。
「星野菜々花さん」
「は、はいっ!」
さすがに隼世さんに抱かれたまま聞くのは失礼だろうと思い、シュッとヒールで立ち上がり、気をつけの姿勢をとる。
「ありがとう。隼世はきみのおかげで、ひとまわりもふたまわりも成長できた。総務部で日々がんばってくれていると、噂は聞いているよ」
「……そ、そんなことないです。隼世さんは、ご自身でとても努力をしていらっしゃったので……」
「星野さん。隼世のそういう部分を色眼鏡なしで見てくれる異性というのは、なかなかいないものだ。きみは素晴らしい。加賀家一同、きみを歓迎するよ」
じわ、と目尻が潤み、揺らぐ視界で目の前に差し出されたゴツゴツした固そうな手がかろうじて見える。
私がそれに応えると、力強くギュッと握られた。