カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

MRIというのも受けたことがない。また怖い検査かなぁ、と泣きそうになりながらも、ガンかどうかを早く知りたくて「お願いします……」と返事をする。

「予約が込み合っているので最短ですと……三週間後の土曜日、午前中なら検査できますよ」

「ええと……」

バッグから桃色のスケジュール帳を出し、三週間後の土曜日の欄を探す。予定があってもMRIを優先するぞと思いながら確認したが、ちょうどなにもなかった。

「その日で大丈夫です」

「では、またその日に来てください。MRIの結果は即日ではなく、さらにその数日後にお伝えすることになるかと思います」

「は、はい……」

注意事項のパンフレットを受け取り、私は丸イスからふらりと立ち上がった。
無心でお会計を済ませ、爽やかな晴れ空が広がっている自動ドアの外へ、重苦しい気持ちで歩いて行った。
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