カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


◆ ◆ ◆

あの夜から土日を挟み、月曜日。

誰よりも早く出社した俺は、オフィスの席でPCをいじるふりをし、星野さんが現れるのを待ち構えている。
プライベートでは連絡をとったことがない彼女に休日に電話をかけたらセクハラになるのではと危惧し、今日まで謝罪できずに悶々としていた。

加賀隼世(かがはやせ)、二十七歳。
ベビー用品メーカー大手『株式会社KAGA(かが)』の御曹司で、今はこのKAGAの総務部で課長職に就いている。

このオフィスはさすがベビー用品メーカーというべきか、壁には色紙で作られた子どもに人気のキャラクターたちが貼られ、ところどころにぬいぐるみが置かれている。
俺の席の電話の横にも、誰かが勝手につり目のクマを置いた。

職員たちも、ボールペンやメモ帳に愉快なキャラクター物を採用している、自由な部署だ。
< 4 / 228 >

この作品をシェア

pagetop