カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


◆ ◆ ◆

それから時はじわじわと過ぎ、先日、予約していたMRIの検査を受けた。

痛みもなにもない、寝かせられてトンネルのような機械に入れられる単純な検査だったが、頭に鳴り響く機械音が余計に不安を煽った。

仕事中もふとしたときに、その音を思い出す。

ドンドンカンカンと工事現場のような音がすぐそばで鳴っているのに、意識が遠くなるようなあの不安定な感覚。

もしかして、私は悪性なのでは。

そんな根拠のない疑いを自分の中で生み出して、卵巣に痛みではない不快な感覚が広がった。


「……ハァ、ハァ」

職場のトイレの手洗い場の鏡を見つめ、呼吸を整える。

検査を受けたのは土曜日で、今日は木曜日。
明日の金曜日にもともと有休を取っていたため、検査結果を聞くための通院日は明日で調整した。

ついに、良性か悪性かがわかる。百パーセントではないが、かなりの精度らしい。これを信用して決断するしかない。
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