カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「……菜々花さん」

へっ……。

「と、呼んでもいいですか」

ぶわっと体の熱が立ち上ぼる。油断していた。そうか、当然、私のことも名前で呼ぶようになるのか。
今ので少し、寿命が縮んだと思う。

「は、はい。……隼世さん」

何度も口にしてみては、幸せを味わう。

「ありがとうございます。……菜々花さん」

隼世さんも、同じことをして耳を赤くしている。ふたりしてまるで学生みたいだ。

思い起こせば、私の恋愛遍歴は学生時代で止まっている。久しぶりの恋愛がイケメン御曹司で硬派な彼とだなんて、どんなどんでん返しだろう。

「あ、そうだ。課……隼世さんは敬語を使わなくてもいいんですよ。年上なんですから」

「え? そ、そうですね……」

「ほらほら、敬語は使わずに。なにか話してみてください」
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