カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
興奮気味に浅く呼吸をしながら、姿勢を前に戻す。
私も隼世さんが好き。そう返事をしてしまいたいが、二週間、この焼け付くような距離感を堪能したいという卑怯な気持ちもある。片思いだからこんな熱烈な求愛をしてくれるのだろうし。
まだ、あと少し。そう思ってしまう。
でも、やはりもっと近づきたくてそっと手を伸ばし、彼の手に触れた。
「菜々花さん……」
視線がかち合い、離せなくなる。お互いの
瞳をじっと覗き込むと、自然に体は近づいていく。
しかし、待っていてもそれ以上距離は進まず、私は「どうして?」と眉尻を下げた。
隼世さんは真面目だから、プロポーズを受けるまでなにもしない気なのかもしれない。
ここで止めてほしくない私は恥を承知で、自分から目を閉じた。視界は真っ暗になったが、彼が息を飲んだのが気配でわかる。
「……菜々花さん、いいの?」
彼は尋ねる。恥ずかしいから聞かないでほしかったが、私は〝いい〟という返事の代わりに、黙って目を閉じ続けていた。
すると覚悟を決めたのか、肩に手を置かれ、息が近くなりーー。
ふわりと、唇が触れた。
すぐに離れ、目を開けると、熱で揺れる瞳で私を見つめる彼がいた。