カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
キスしちゃった。
ぼんやりとする意識の中で、確実に進んだ私たちの関係にじんと胸が痺れる。
「嫌じゃなかった?」
そう聞かれ、私は控えめにうなずき、恥ずかしくなってうつむく。
このペースだと、きっとすぐに深い関係になってしまうかも。想像すると、胸が高鳴ってしかたない。
早くそのときが来てほしいのに、甘い時間が過ぎ去るのがもったいなくてじっくりと進めていきたい気持ちもある。
「……隼世さん。これからどうぞよろしくお願いします」
曖昧な言葉を選びながら、彼にこれでもかと甘ったるい声でつぶやく。
「こちらこそ。……好きになってもらえるように、がんばるから」
キスをした後の彼の宣言は、私の胸を打つ。
私たちは触れる部分が痺れるような距離を保ちながら、しばらく静寂の中にふたりきり、手を握っていた。