今夜、この恋が壊れたら、
水の様に綺麗で、泥水の様に濁っている空を見るのは初めてかもしれないな、と思う。

呑気なことを考えている間に、時間は刻一刻と迫っているけれど、何もしようがない。


このまま、蟠りが消えないまま消えていくと思うだけで無性に悲しくなるのは彼も同じなのだろうか。

大の字に寝転ぶと、彼の左手と私の手がぶつかりそうになって、私は急いで仕舞おうとしたのに、彼は私の手を掴んで握った。



その掌に包まれるのも、触れるのも久しぶりだった。

恋人同士なのに、久しぶりだった。





「今日は嫌がらないんだな」
「嫌がったことなんてないよ」


嫌だったというか、なんとなく恥ずかしかった。なんとなく付き合うとか、すきとか、私のキャラに合わない気がして、恥ずかしかった。

カレカノだよって言うと、「嘘だあ!!」って驚かれるほど、私たちはカップルぽくなかった。
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