政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「可愛いな、必死に俺にしがみついて。たまらない」
「……っ」
わざと耳元に顔を寄せて囁かれ、ゾクリと反応する身体。
「もっと教えて、未来のこと」
何度も身体を揺すられ、ただ甘い声を出すことしかできない。
私より八歳上で、お父さんが経営する会社の取引先の御曹司。噂で聞いた仕事人間で冷徹で、他人に興味がないという人となり。それしか知らなかった。
だからまさか夢にも思わないじゃない? 彼にこんなにも愛される日々がくるなんて。
何度も求められながら思い出すのは、初めてお父さんから弦さんとの縁談の話をされた日のことだった。
* * *
それはなんの前触れもなく突然告げられた。
「未来、大学を卒業したらすぐに彼と結婚しなさい」
夕食後、家政婦が淹れた紅茶を飲んでいると、そう言ってお父さんが私に差し出したのは一枚の封筒。
「私の会社の取引先の息子さんで、なかなか男気のある青年だ。きっと未来を幸せにしてくれるだろう」
なんて父親らしいことを言っているけれど、淡々と表情を変えずに言われては本心ではないとすぐに察することができる。
それに『結婚しなさい』ということは、私に拒否権などないのだろう。
「よかったわね、未来。良い縁談に恵まれて。幸せよ」
「……っ」
わざと耳元に顔を寄せて囁かれ、ゾクリと反応する身体。
「もっと教えて、未来のこと」
何度も身体を揺すられ、ただ甘い声を出すことしかできない。
私より八歳上で、お父さんが経営する会社の取引先の御曹司。噂で聞いた仕事人間で冷徹で、他人に興味がないという人となり。それしか知らなかった。
だからまさか夢にも思わないじゃない? 彼にこんなにも愛される日々がくるなんて。
何度も求められながら思い出すのは、初めてお父さんから弦さんとの縁談の話をされた日のことだった。
* * *
それはなんの前触れもなく突然告げられた。
「未来、大学を卒業したらすぐに彼と結婚しなさい」
夕食後、家政婦が淹れた紅茶を飲んでいると、そう言ってお父さんが私に差し出したのは一枚の封筒。
「私の会社の取引先の息子さんで、なかなか男気のある青年だ。きっと未来を幸せにしてくれるだろう」
なんて父親らしいことを言っているけれど、淡々と表情を変えずに言われては本心ではないとすぐに察することができる。
それに『結婚しなさい』ということは、私に拒否権などないのだろう。
「よかったわね、未来。良い縁談に恵まれて。幸せよ」