政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 そう言われ、私と弦さんは非常に居たたまれなくなる。そして彼は、「そうやって子供をからかって楽しいのか?」なんて悪態をつく。

 それにしてもお義父さんとお義母さんが来てからというもの、驚きの連続だ。
 私の実家では考えられない家族の団らん。でもこれが当たり前なのかな。本当の親子はいくつになっても砕けたやり取りをできるものなの?

 なにが普通なのかわからない。でもたしかなのは、弦さんのように私は自分の両親に悪態などつけないということ。
 やっぱり私と両親の関係は、普通ではないのだろう。

 今さらながらに思い知らされ、泣きそうになる。和やかな空気を壊さないよう、必死に涙をこらえながら残っているシフォンケーキを口に入れた。

 さっき、弦さんと味見をしたときはすごくおいしく感じたのにな。冷めてしまったから? なんだか味気ない。

 黙々と食べ進めていると、急に弦さんに「未来」と呼ばれた。横を見ると彼の親指が私の口もとを撫でる。

「クリームついているぞ」

「えっ? あっ」

 弦さんは呆れたように言うと、私の口についていたクリームをぺろりと舐めた。

 う、嘘……! 弦さんってば今、舐めたよね?

 声にならずにいる私とは違い、弦さんは至って普通。なんとも思わないの? さっきのことに関しては。

 こんなにドキドキしているのは私だけ? そう思うと寂しさを覚える。

 コロコロと変わる感情と気持ちの起伏に戸惑う。
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